東京都福祉保健局は、東京の高齢者施策の総合的・基本的な計画である「東京都高齢者保健福祉計画」の平成21~23年度分を策定するにあたり、中間まとめを公表して都民からの意見を募集しましたので、東京都生協連は2月9日付で下記の意見を提出しました。
2009年2月9日
東京都生活協同組合連合会
都政政策小委員会
委員長:名和三次保
「東京都高齢者保健福祉計画(中間まとめ)」に関する意見
高齢者保健福祉の充実に取り組んでおられることに心から敬意を表します。
標記の案について、意見を述べます。
1.東京都の役割について
計画は区市町村と東京都の役割について、実施は区市町村、支援は都という仕分けをしているように見受けられます。そのような役割分担は基本的に了解できますが、その支援のあり方についてはさらに検討を深める必要があります。
「中間まとめ」における都の役割は、(1)区市町村の主体的な施策の支援、(2)施設整備や人材育成などの基盤づくりとされます。それらをすすめる前提として、だれでも、どこでも最低限必要な福祉サービスを享受できることを明確に示す「福祉ミニマム」の指標を設定すべきであると考えます。そのようなミニマム指標にしたがって、区市町村の施策支援を実施していくべきであると考えます。
2.地域密着型サービスの整備について
小規模介護老人福祉施設、認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービスの整備が著しく立ち遅れています。「中間まとめ」では、たとえば認知症高齢者グループホームについては計画の77パーセントの整備率であるとし、また、小規模多機能型居宅介護については事業所の3分の2が赤字経営で設置が計画どおりにすすんでいないとしています。
このような立ち遅れは土地価格が高いことや、サービス単価が低いことに起因していると考えます。土地の取得に関しては公有地を積極的に提供していくことや、何らかの財政支援施策が求められます。また、経営に関しては介護保険単価を上乗せする運営費支援制度を検討すべきです。
3.人材の確保について
介護スタッフの不足が深刻な状態にあります。それは仕事の重要さに対して介護報酬が低いことによっていると考えられます。「中間まとめ」も「質の高い安定した介護サービスの提供のために、介護従事者が安心し、将来の展望を持って働き続けられる仕組みづくりに早急に取り組む必要があります」としています。都が国に対して政策提言を行っていることはその内容についても評価いたしますが、都自らが介護従事者の就労を側面から経済的に支援していく施策も必要です。この計画期間の早い段階で、それらの施策の整備・実施を求めます。
以上